soomyaの成り上がり物語

そのうち大手歌い手兼トップユーチューバー兼プロゲーマーになります。

雨の日の雨野のシャツpart4(最終回)

そうして、一悶着あった一時限目だったが、この出来事以外には特に大きな事件もなく授業終了のチャイムが鳴った。
その後の授業では桜井は雨野に教科書を見せてもらいながらノートを取ったりしていた。
教科書を見るために桜井が近寄って来て肩が触れ合いそうになるたびに雨野はドキドキして顔が赤くなったりそわそわしたりしていた。
雨野は女性慣れしておらず、元来シャイな性格なのだ。しかも、桜井が近くに来るたびシャンプーの匂いやら女の子特有の匂いがしてくるのだから思春期真っただ中の雨野にとってはなんとも落ち着かなかった。
しかも、桜井はノーブラなのだ。落ち着かなくなるのも頷ける。当人は雨野にバレていることには気づいていないのだが。
挙動不審な雨野が机の上からえんぴつや消しゴム落としてしまった回数は午前中の間で一度や二度ではなかった。
桜井も桜井で雨野がずっとこんな調子だったので、少しからかって見ても面白いかと思い、たまに肩を軽くぶつけてみたり、髪をかき上げたりしてみて雨野の反応を楽しんでいた。
雨野はそのたびに頭が沸騰してどうにかなりそうだった。
一見はたから見ると仲のいいカップルにしか見えないのだが、桜井はそのことに気づいていない。
どうすれば雨野の面白い反応を見れるかと考えることに集中していた。
そんなやりとりを繰り返しているとあっという間に午前中の授業が全て終了していた。

昼休みが始まって、各々がちりじりに、購買へ行くもの、食堂へ向かうもの、仲のいい友達と机をくっつき合わせるものと別れて行動を始めていた。
雨野はいつも一人でご飯を食べるいわゆるぼっち飯だったので、カバンから毎朝早起きして手作りしているお弁当を取り出そうとしていた。
そのとき、桜井が神妙な顔で声をかけてきた。
「おい、雨野。あんたがいつ私に服を貸してるってほかの奴らに言いふらすとも限らないんだから一緒にご飯食べるわよ。
あんたのこと監視するから。」
雨野は驚くのと、同時に桜井と一緒にご飯を食べれることが純粋に嬉しかった。
二つ返事で
「そんなことは決してしないけど、いいよ。俺なんかでよかったら。」
「じゃあ移動するわよ。ここだと目立つし、みんなにあんたと仲いいと思われたくもないし。」
そういうと桜井は自分のお弁当を持ってすたすたと歩いて行ってしまった。
雨野も置いていかれないように慌てて追いかける。
三階にある雨野達の教室を出て、桜井は階段を降りていく、雨野はどこへ行くんだろうと思いながらも桜井の後ろを一定の距離を保って付いていく。
一階まで降りてきて、校舎を出て、少し歩くと校舎と別校舎の間の道の片隅にやや古ぼけた木製の机と椅子があった。
こんなとこにこんな場所があったんだと雨野は少し驚いた。
「へー、こんな場所が。」
「たまに友達とここで食べるのよ。ほとんど人も来なくていいのよ?雨の日とかここで食べるとエモいし。」
雨野はエモいの言葉の意味は分からなかったが、たしかにここでご飯を食べるのはとても良いように思えた。
上には屋根もあったし、この日は雨が降っていたが、机も椅子も水で濡れていたりはしなかった。

机の片面は壁にくっついていて、椅子も長椅子が一つあるだけだったので、二人は自然と横並びになって座った。
桜井ももうこの頃には雨野に対するオタク嫌いからなる偏見も特に無くなっていた。
実は雨野を監視するためと言って、連れ出したのも口実で、本当はもう少しからかって楽しみたかっただけだったのだ。
二人はお弁当を取り出して、蓋を開ける。
「わー、あんたのお弁当めちゃくちゃ綺麗に並べれられてるじゃん。」
「早起きして作ってるんだ。」
「え、自分で作ってるんだ。すごいじゃん。まあ、わたしも自分で作ってるけど。」
「桜井のお弁当もその、なかなか美味しそうだな。」
雨野がそう言うと、桜井はしたり顔で
「シャツ貸してくれたお礼にこの卵焼き上げる。結構自信作なんだー~」
「え、いいのか。悪いな。でも申し訳ないから交換と行こう。ちょうど俺も卵焼きを作ってきているし」
そういうと二人はお互いの卵焼きを交換した。
そして雨野は早速桜井お手製の卵焼きを口に運ぶ。雨野が母親以外の女性の作ったお弁当を食べるのはこれが初めてだった。
「ん、この卵焼き、中にきんぴらごぼうが入っているのか、食感が楽しくていいな。うまい。俺も今度試してみよう。」
「ふふ~ん♪おいしいでしょー~?まー、きんぴらは昨日の夜ごはんの残りなんだけどね。えへへ。」
自分の卵焼きが褒められた桜井は上機嫌になり、雨野に対して使っていた言葉遣いもやや柔らかいものへとなっていた。
「雨野の卵焼きおいしー!明太子が入ってるんだこれ!?結構合うじゃん!」
「毎日自分で作っていると飽きてしまってな。最近は色々と試しているんだ。ちなみに昨日は納豆が入っていた。
味は、、、。今日でよかったな。」
納豆卵焼きの味がおいしくなかったのはいうまでもない。
そして、二人は卵焼きの交換をきっかけに他のおかずも色々と交換し始めるのだった。
「この唐揚げなんでまだサクサクなの!?朝揚げたやつでしょ!?」
「それには秘密があってな、、、。」
雨野は料理が上手だった。
「ふむ、このたこさんウインナー足がちゃんと8本あるのだな。」
「頑張ったんだー~!大変だったんだから感謝しながら食べてよね!」
そうして二人は色々とおかずを交換しながら、楽しい時間を過ごすといつのまにかにお弁当も食べ終わっていた。
「ご馳走様!あんたが料理上手だったなんて意外だったわ。また、おかず交換してやらなくもないわよ。」
「お褒めの言葉ありがとう。桜井のもなかなか美味しかったぞ。」
こうして、二人のおかず交換会?は終了した。
教室へ戻る際、行きの間は前後だった二人の立ち位置はいつのまにか横になっていた。
そして、その後、桜井はたびたび監視のためと称して、秘密の場所で雨野とおかず交換会を開くのだった。

雨の日の雨野のシャツpart3


さきほど、雨野との会話をなかば強引に切り上げたせいで決まりの悪い桜井だったが、背に腹は代えられるぬと、気持ちを切り替えることにしたのだった。
そして、雨野の方へと体を向けやや、恥ずかしがりながらも声を出す。
「あ、あのさ、雨野。悪いんだけどさ。」
絞り出すように声を出すも少し、言葉が突っかかってしまっう桜井。
この時の桜井は自分が下着を付けていないのが雨野にばれてしまうのではないかととても不安な気持ちを抱えながら話していたので、
話し方不自然になってしまっていた。
「ん?どうかしたか?」
明らかに普通ではない状態の桜井の声色を聞いて雨野は不審がりながらも目を合わせるように体を向けた。
「うん、あのね。雨のせいでカバンの中の教科書まで濡れちゃってて、多分これ開くと破れちゃうと思うから、教科書見せてもらえないかな?」
「そんなことか。もちろん、良いに決まっている。どれ、机をそっちの方に寄せるぞ?」
雨野はそう言うと自分の机を持って、桜井の机に寄せるように椅子を立ち上がった。
「!いや、いいよ!私が忘れたんだから私が机そっちの方に寄せるよ!」
これ以上雨野に迷惑を掛けたくなかった桜井は慌てて自分も立ち上がり、机を持って雨野の方へと机を移動させる。
しかし、そのとき教室の床がさっきまで桜井がビショビショだったせいでよく滑る状態になっていた。
慌てて立ち上がった桜井は濡れた床面に足を取られて、少しよろけてしまう。
運悪く、よろけた先に机を持った状態の雨野が立っていて、桜井はバランスを立て直そうと一度、机を手から離したのだったが、それでも勢い止まらず雨野にぶつかってしまった。
雨野はなるべく、桜井がけがをしないで済むように、とっさに桜井を支える体制を取っていた。
意外にも雨野は運動神経はかなりいい方だったのだ。
そして、桜井を受け止めた瞬間、慣れない感触が手から伝わってくるのを感じた。
雨野は突如、とても柔らかいものが手に触れ、ほんの刹那の間、頭が真っ白になったが、すぐさまに思考を切り替えると桜井の勢いを完全に殺すように肩の方を抱き止め、
無事桜井を立たせ直した。
「わ、ごめん!」
二人が言葉を発したのは同時だった。
桜井の方は失敗に失敗を重ねて、泣きっ面に蜂状態だったこともあってすぐさま謝罪の言葉が出た。
対する雨野もあの刹那の間に桜井がノーブラの状態であったことを理解し、そして、故意ではなかったにせよ胸を触ってしまったことを詫びた。
桜井はパニックのあまり雨野に胸を触られたことに関しては気づいていなかったのでなぜ謝られているのかは不思議だったが、
わざわざそれを言うのも変だなと思ってそこには触れなかった。
結局、机は二人の間の中点の位置に置いて、一冊の教科書を共有して見ることにした。
しかし、雨野の内心は穏やかではない。
雨野は桜井さんは自分の胸を触られて激怒しているに違いないと思っていたからだ。嫌われたに違いないとまで思っている。
それだけではない。オタクでアニメ好きな雨野とはいえ、三次元の女性に興味がないわけでは全くない。健全なただの高校生だ。
隣に、下着を身に纏っていない女子高生がいると思うと全くもって授業に集中することが出来なかった。
ゆえに、教師から指名され名前を呼ばれたことにも一瞬気づかなかった。
「雨野。この問いⅡの問題の答え、分かるか?」
雨野が正気を取り戻したのは、何も言わない雨野を不思議がって教室内のクラスメイトがちらちらと雨野を見始め、教室内が静まり返ってからだった。
脳内に残る言葉の羅列を整理し、言葉として理解できるようになってからようやく雨野は教師から答えを問われていることに気づいた。
雨野は慌てて、立ち上がった。
そして、教科書のその問題を探し始める。もちろん、問題を探し始めるところから答えようとしては遅すぎるのだが、そんなこといちいち気にしている余裕は雨野にはない。
そこで助け舟を出してくれたのはなんと桜井だった。
「ⅹ=√3y=√5」
ボソッと雨野しか聞こえないように桜井は囁く。
「はい。ⅹ=√3y=√5です。」
「正解だ。座っていいぞ。」
雨野はほっと胸を撫でおろし、席に座った。
「ありがとな。助かったよ。」
「珍しいじゃん。あんた、数学得意でしょ。」
雨野はなぜ、桜井が自分が数学が得意なことを知っていたのかと不思議がるのと同時に、なんだ桜井怒っていないじゃないかと安心した。
桜井も少し恩を返せた気がしてうれしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【オリジナル小説】雨の日の雨野のシャツpart2

桜井はクラスで人気者だった。
彼女は元気で活発的であったし、人当たりもよく友人も多いタイプだった。
だが、オタクのことは毛嫌いしており、アニメ好きの雨野とはあまり関りがなかった。
そして、少し抜けている部分もあって、そういうところが雨野は可愛いなと思っている節があった。
今日、彼女が雨でずぶ濡れになっており、遅刻寸前のところも抜けている性格のせいであろう。

席に着いた桜井はカバンからタオルを取り出すと、髪や腕なんかを拭き始める。
「マジ最悪~」
桜井の濡れっぷりは大したもので、プールに飛び込んできたのかってぐらいにはびしょ濡れだった。
というのも、桜井は通学の最中、強風によって傘が飛ばされてしまったのだった。
傘はかなり飛ばされ、桜井も走って追いかけたのだったが間に合わずさらに運の悪いことに川の中に落ちて行ってしまったのだ。
川に流されていく傘を眺めつつ、もう回収は不可能そうだなということを悟った桜井は少しでも濡れないようにと走って学校に向かうのだった。
時は戻って、教室。HRも終わりかけの頃。
雨野はあんまりにもじろじろと桜井の方を見るのは申し訳ないなとも思いつつ、つい桜井の方をちらちらと見てしまう。
桜井の濡れ方は服から水が滴っていて、地面に落ちているぐらいだった。
そして、雨野はそれを目にして少しの間凝視して目をそらした。雨野は赤面していた。
桜井は服が濡れすぎていて、中の下着が透けて見えてしまっていたからだ。
さすがに、これはまずいと思った雨野はHRが終わるとすぐに桜井に話しかけた。
「なあ、着替えは持ってきてないのか?随分と濡れてしまっているようだが。」
桜井は一瞬驚いたような顔をして
「わあ、びっくりした!あんた喋れるんだ?」
雨野はクラスではあまりしゃべらないほうだったし、まして桜井に話しかけたのはこれが初めてだった。
「今日は体育も無いから、ジャージも持ってきてないしー、着替え持ってないかも。。。」
すると、雨野は俺に任せろといった顔で、
「今日たまたま、一枚多くYシャツを持ってきていてな。よかったら貸してやる。このままでは風邪をひいてしまうし、横にビショビショの人間がいられると俺の周囲の
湿度が上がって不快だ。」
雨野は素直に言うことが苦手で、照れ隠しのために余計なことまで言ってしまう。
人付き合いが苦手で奥手な雨野にとって桜井に話しかけたことと着替えを貸すという提案が出来たことは奇跡に近いことで、余計なことを言ってしまったことを加味しても
雨野にしては凄まじい頑張りを見せていた。
「えー、きもいね?普通、喋ったこともない女子にそんなこと言う?でもまぁ、確かにこのままでも居られないしー、貸してもらおうかなぁ?いや、でもなぁ。
あんたそのシャツに変なものとか付けてないでしょうね。」
いまだ、思案中の桜井に雨野は
「言わない方がいいかと思ったが、その、下着も透けて見えてしまっている。このシャツは洗い立てだし、綺麗に畳んでいる。」
「きっも!まじきもい!見んな見んなばか!早くそれ貸して!」
そう言うと桜井は雨野の手からひったくるようにしてシャツを掴むと、自分のカバンも持って、足早に教室の外へと出て行った。
少しすると、一限目の授業が始まる前に桜井は帰ってきた。
そして、自分の席に着くと、
「ありがと。きもいけど、助かったよ。このシャツ洗濯して明日返すね。あ、あんたからこのシャツ借りてるってこと他の誰にも言わないでよね。
オタクのあんたとつるんでるって思われると恥ずかしいし、ましてあんたの服を着てるなんてみんなに知られたら私もう死ぬしかない。」
雨野は苦笑しながら
「分かったよ。誰にも言わないよ。ただ、俺の扱いがあまりにも酷すぎやしないか、、、?」
「あんたと会話してるってだけでもありえないんだから、当たり前でしょ?調子に乗んなよ。はい、もう話終わり。これ以上話かけて来ないでよね。」
そうすると、桜井は体を黒板の方に向けて会話を切り上げた。着替えを貸してあげた雨野には一見冷たすぎるようにも見えるがそのはずだった。
桜井はあまり雨野に見られたくなかったのだ。というのも、雨で服が濡れた際、かなりの時間服が濡れていたせいで浸水具合はシャツに留まらず、
中の下着まで濡れてしまっていた。一度は、この濡れた下着のままで過ごそうかとも考えた桜井だったが、それでは肌の感触が気持ち悪すぎるし、
また下着が透けて見えてしまうかも分からない。なので、桜井はカバンに入れておいた絆創膏で突起している部分を覆い、その上から雨野から借りたシャツを着ることに
していたのだった。桜井にとってそれはとても恥ずかしいことだったが、今日一日だけならなんとか乗り切れると踏んでいた。
雨野と長く会話して体を見られているといつかその事がバレるかもしれないと桜井は思って、やや一方的に話を切り上げたのだ。
雨野には悪いことをしたなと思いつつ、明日シャツを返す時にちゃんとお礼を言おうと決意した桜井だった。

体の向きを変え、黒板の方を向く。桜井の内心穏やかではない。なにせ、ノーブラで一日過ごすはめになることなんてもちろん初めてだったからだ。
他の誰かにバレませんように祈りながら、一限目の授業で使う教科書をカバンから取り出そうとする。その瞬間、さくらいはハッとした。
雨に濡れたせいでカバンの中の教科書まで濡れており、今開くとびりびりに破けそうだったからだ。
この濡れた教科書は最低でも一日は乾燥させるためにこのまま開かない状態で干しておかないとダメになってしまうということは明らかだった。
そうなってくるとつまり、横の席にいる雨野に教科書を見せてもらわなくてはいけなくなってくる。

 

 

【オリジナル小説】雨の日の雨野のシャツ

「ふー。」
五月の後半、梅雨本番を目前に控えたある日の通学途中。
じっとりと肌にまとわりつくような熱気を帯びた雨が例年より一足先にやってきた梅雨の訪れを感じさせた。
傘では防ぎきれなかった雨粒が雨野のシャツを濡らし、やや水分を含んだ布は肌にペタペタと張り付いて不快感を覚えるには十分すぎるほどだった。
苗字に雨を冠する雨野でも雨は苦手だった。雨粒で衣服が濡れるのが嫌いだったのだ。
雨が降る日は必ず、替えのYシャツと靴下を持参するようにしていた。もちろん、長靴も忘れずに履いている。
普段なら家から最寄りのバス亭まで歩いて10分、雨で地面がぬかるんでいることと、長靴を履いているということを鑑みると15分はかかるであろうと見越して今日は
いつもより少し早く家を出ている。
バス停に着いてからバスを待つこと5分、降り続く雨に後押しするように強い風も吹いてきている。早くバスよ来てくれと願いながら、サラリーマンやOLも並ぶその列に律儀に並ぶ。
雨の日のバス停は晴れの日に比べて利用客も多く、バス停に設置されている屋根は雨野のことまでは雨を防ぎきれていなかった。
この分ではバスの車内も混雑しているに違いないと睨んだ雨野は席に座れそうにはないということと、過多になるであろう人口密度を想定して、早々に覚悟の準備をしていた。
さらにもう5分後バスがようやくと言った具合にやってきた。傘を折りたたみながら車掌に行き先を伝えた雨野はさきほど覚悟したことが無駄にはならなそうだということに落胆しつつ、
なるべく人の邪魔にならなそうな位置に立ち、学校に着くまでの30分間をいかに過ごそうか考えていた。
エアポッツを耳に装着し、お気に入りのアニメのOP曲をリピートしているうちにバスは目的地である東雲高校前まで無事運んでくれたようだった。
バスを降りて、先ほどよりも強くなっていた雨足と強風に気づくと、うんざりしながらも足早に校門の方へと向かっていく。風に傘を持って行かれている生徒を横目に見つつ、
自分は二の足を踏むまいと風の吹いてくる方向に傘の先端部分を向けながら、校門を過ぎ、自分の下駄箱まで到着した。
傘を振りながら付着した雨粒を落とし、綺麗に折りたたんでいく。ここで雑に仕舞うと後々で余計に厄介な思いをするということを理解している雨野は慣れた手つきで
するすると傘紐を結び、上手く折りたためたのか満足げな表情を浮かべ、傘立てに苦楽を共にした相棒を預ける。

自分のクラスである2-3組の教室に向かう前に雨野はトイレで雨で服が濡れてしまったとき用の服に着替えをすることに決めた。
道中の雨やバス車内の熱気で汗をかいたせいで雨野の不快感は限界を迎えていたからだ。
傘で防ぎきれなかった雨粒がYシャツに質量をあたえ、肌が訴えかけてくる不快感は小学生の頃の着衣泳を連想させた。
ずぶ濡れの衣服を着て水中を泳ぐというのは困難なうえに、陸に上がってからも水を吸って重くなった衣服は非常に鬱陶しく、着衣泳というものは本当に大変なもの
なんだなということを雨野は幼少期に植え付けられていた。さらに、講師が水中で溺れさせようとしてくるのだからそれで死にかけた雨野にはトラウマものだった。
雨野はそんなことを思い出しながら苦笑いしつつ、カバンに入っていた着替えに手を伸ばす。
「お?」
すると、雨野は異変に気付いた。
着替えが2セット入っていたのだ。ここで雨野はハッと思い出す。
前日の夜に明日は雨が降るからと準備をしていたことと、今朝にそのことを忘れていて着替えをカバンに入れていたことを。
自分のおっちょこちょいぷりに呆れつつ、もう一つの着替えはそのままに、雨野は着替えを完了させた。

乾いたYシャツを身にまとい、少しスッキリした雨野は教室へと向かう。
ガラガラと扉を開けると、生徒の数はまだ半分ぐらいのようだった。
雨の日は足元が悪くなることに足してバスが混むということもあって時間ギリギリになって教室に来る生徒も多いのだ。
雨野が教室に入った時刻はHR15分前だったが、いつもより教室内は閑散としていた。
「おはよ~~~んあめの~~~ん!!!」
唯一と言っても過言ではない友人の吉田がすかさず、元気な声色で声をかけてきた。
吉田は根からのアニメ好きで雨野も吉田が好きなアニメが好きだった。そのことが発覚してからというもの、吉田は熱心に「パリピ孔明」の話を雨野に持ち掛けてくるようになった。
「あの回のあのシーンマジで感動したよね~!」「まさかあそこで孔明があんなことを思いつくなんてな~!」なんて具合に、毎日話しかけてくるものだから嫌でも仲良くなってしまった。もとから人づきあいが得意なほうではなかった雨野にとって、唯一心が許せる良い友人であったし、クラスに馴染めていなかった雨野にとって吉田は
気持ちを前向きにさせてくれる存在でもあった。
「おはよう。」
雨野は吉田のテンションに驚き、苦笑いしつつも挨拶を返した。
「昨日のパリピ孔明も超面白かったよな~!」
雨野が自分の席に向かっている最中もさっそく吉田はアニメの話を持ち掛けてきた。
「面白かったなぁ。」
ノリノリで話してくる吉田とは反面、周囲にアニメ好きのオタクだとバレたくない雨野は吉田の話に適当に相槌を打ち、話を流す。
雨野の席は教室の一番後ろの席で扉から一番奥の1個前の席だった。
席に着席する前に隣の角の席を一瞥したが、その席の主は未だ学校には到着していないようだった。
教室の最奥の角の席には憧れを持っていた雨野は最初の席決めの時に悔しい思いをした。
まあ、それでもそのいわゆる主人公席の隣の席である雨野も相当に運が強いのだが。
その後は、吉田のマシンガントークをなあなあで対応しつつ、今日1日の時間割などの確認をし始めた。
しかし、それでも舌が回るのが止まらない吉田を鬱陶しいとまで思い始めた雨野は自身のユニークスキルである次元の狭間の解放Lv5を使用して、
吉田の胸倉を掴み、そのまま背負い投げの要領で突如現れた異世界への入り口に放り込んだ。
この次元の狭間がどこに繋がっているかは雨野自身も知らない。なぜなら、この空間に放り込まれて還ってきたものは未だかつて誰もいないのだから。
こうして吉田は未来永劫この世から消え去った。

そして、窓の外を眺めたり、クラスメイトの他愛もない談笑を眺めながら水筒に入れておいたお茶を飲んでいると、HR3分前のチャイムが鳴り始めた。
クラスメイトのほとんどは着席し、担任の教師が現れるのを待っていたが、雨野の隣の席の人物は未だ現れない。
普段ならとっくに席に着いているはずなので、不審に感じていた雨野だったが、休みなのだろうかと勘繰るぐらいのことしか出来なかった。
そして、少し経った。
ガラガラと教室の前の扉から教師が入ってくるのとほぼ同時くらいに廊下から誰の走るバタバタという音が聞こえ、件の雨野の隣の席の主が勢いよく後ろの扉を開け、
入ってきた。
少し、目をやるとよほど急いで来たのか息を切らしており、雨で濡れたせいか服がビショビショになっていた。
「すみませーん!まだ遅刻じゃないですよね?!」
「うーん、ギリギリセーフってとこかな?席に着いてくださいね。桜井さん。」
桜井さんは小声で「よかったぁ」と呟きながら雨野の隣の席までやってきた。
そうこうしている間も桜井さんからは水が滴っており、だいぶ雨にさらされてしまったんだなぁと雨野は同情せずにはいられなかった。

 

モテモテになるためにやっていることシリーズpart3

こんばんは。soomyaです。
【モテモテになるためにやっていることシリーズ】の続きを書いていこうと思います。
今回でモやシもついに第三弾です。
モテモテになるためにやっていることをすべて書ききるまではこのシリーズは続けていこうと思ってます。
僕がモテるために行っていることは無限大にあるので、きっとこのモやシも無限大に続いていくのではないでしょうか。
それでは、本題に参りたいと思います。

 

まず始めに厳しいことを言わせてもらいます。
日々をだらだらと生きているだけではモテモテにはなれません。
自分の容姿や周りの環境を変えることは難しいし、時間がかかりますが、自分の内面。つまり、意識や行動はすぐにでも変えることが出来ます。
もし、あなたが日々、だらだらと生きているのならば、今日から、いえ、今から考え方を変えていきましょう。



とはいっても、じゃあ具体的に何をやっていけばいいの?って感じだと思うので、僕が普段意識していることを紹介していきます。
分かりやすく、一言で表すとこういうことです。


「ブスにこそ、誠心誠意を持って接しろ!」
はい、解説していこうと思います。これだけだとなんのこっちゃだと思うので。
世の中にはたくさんの女性がいます。その中にはブスな女の子もいれば美女もいます。
むしろ、大半を占めているのはブスな女の子です。
ここで、胸に手を当てて考えててみてください。
あなたは女性に対して分け隔てなく接することが出来ていますか?
「こいつはブスだから適当な返事でいいや。」とか、逆に「この人は美人だから緊張するなぁ。」とか
考えていませんか?それではいけません。
理由は二つあります。

まず一つ目、人を見た目で差別し、態度を変えてるという行為が人として醜いです。
そして、醜いことをたくさんしていると醜い性格になります。
普段の態度が、行いが、習慣が自分の性格を形成しています。
さらに、悪いことに、性格は顔に出ます。
「こいつ、悪そうなやつだなぁ」と思って悪くなかったやつに僕は今まで会ったことがありません。
逆に「この人、いい人っぽいな」って印象を受けた人は皆、良き人格者でした。
まあ、僕も人を見た目で判断する怪物と言われてしまえばそうですが、まあ大体この世の理に沿って考えれられてると思います。
矛盾していることを言っててアレなんですけど、要は性格は顔に出るってことです。
なので、人から好かれたいなと思ったら性格を見直す必要あります。
ブスな女の子にも誠心誠意向き合って会話をする。良いところがあったら褒めてあげる。
自分から気持ちよく挨拶をする。こういったことの繰り返しが良い性格を作っていきます。
そういうことを日々、心がけていると自分の周りには気持ちのいい人たちが集まるようになり、
中には顔も性格もいい女の子が現れるでしょう。
そういう子が現れたら仲良くなって、デートをして、SEXしてしまえばいいのです。

 

そして、ブスをないがしろにしてはいけない理由はもう一つあります。
それは、ブスも大事な女性とのコミュニケーションの経験値になるからです。
人は誰しも、初めてやることはなかなかうまくいきません。
ある程度、経験を積んでやっと一人前に何かを出来るようになるのです。
先ほどお話ししたように、世の中の大半はブスです。
ということは、美人だけを選んで話していると圧倒的に経験値不足になります。
ここがドラクエの世界だとして、いきなり最初の村から飛び出してりゅうおうに勝てるでしょうか?
無理ですね。スライムやドラキーなんかの雑魚やらを倒してレベルを上げて、強くなってからじゃないとりゅうおうなんていう強いモンスターは倒せません。
恋愛も一緒です。いきなり、男慣れをした美人とは上手く会話が出来ません。
まずは、男慣れをしていないあんまり可愛くない子で練習。って言ったら失礼ですけど、経験を積むのです。
そういう経験をたくさん積んでいると、僕のようにどんな女の子が相手でも自然にお話できるようになります。
とはいえ、そんな僕でもブスな女の子とお話をするのはなかなかの苦痛です。
顔に嫌な感じが出ないようにするのはなかなかに難しいし、強靭なメンタルが要ります。


こんな話があります。
昔、僕が出会い系アプリをやっていたころ、プロフに顔出していない子と外で会う約束をしました。
当日、駅に現れたその子は身長は僕の半分くらいで、横幅は僕の倍くらいある冷蔵庫みたいな人でした。
勿論、顔も可愛くありません。
ですが、僕は嫌な顔ひとつせず、まずは、足を運んでくれたことに感謝をし、相手の容姿には一切触れず、その日一日を笑顔と巧みなトークで乗り切りました。
打てども打てども響かない感じ、何事にも無関心に生きていることが伝わってくる言葉の軽さ。
何から何までしんどかったです。
しかし、これも経験だと思って頑張りました。
今ではいい思い出です。ありがとうあの時の女の子。俺のメンタルを強くしてくれて。



そんな感じで、今回のブログを締めさせていただこうと思います。
皆さんも、ブスだと思って切り捨てずに、誠心誠意をもって会話をしてみてください。
最悪、Sexは出来ますしね。
それではまた。

 

 

モテモテになるためにやっていることシリーズ2

 

こんにちは。soomyaです。今回は「モテモテになるためにやっていることシリーズ」の続きを書いていこうと思います。
とはいえ、前回のブログから時間が経ってしまったので、内容を忘れてしまったのではないでしょうか。
・・・見てきてください。今すぐに。
見てきましたか?よしよし。そう。前回は主にモテるためには働くことが大事だと書きましたね。
そして今回は、モテるためにととても重要な習慣の一つである身だしなみの整え方を紹介します。
引きこもり陰キャオタクの皆さんは身だしなみなんて気にしたこともないと思いますが、女性にモテるためには身だしなみに気を付ける必要があります。
女性は清潔感のある男性を好みます。
清潔感の無い男性というのは論外で、モテるモテない以前に人として嫌われます。
今日は特別に、普段僕がやっている清潔感を高める身だしなみの整え方を伝授します。


まず、最初は簡単に今すぐできることから教えていきます。
ずばり、髪と眉毛です!
髪と眉毛さえ、整っていればなんとなくイケメンっぽく見えます。
目指すべきは雰囲気イケメンです。
髪に関していえば、ド短髪はモテません。NGです。
相当顔の作りが良くないと短髪は似合いません。
とにかく髪は伸ばしましょう。耳が隠れるくらいまで。
あ、ちなみに長すぎはだめですよ。長すぎる髪はそれはそれで清潔感がなくなってしまいます。
男性なら髪の長さは肩には届かないようにしましょう。
髪を切る場所はぶっちゃけどこでもいいと思います。
僕自身、1200円で髪を切ってくれるQBハウスで切ってもらってます。
QBハウスの人たちはそんにょそこらの美容師より何倍も接客している数が多いのできっと腕も確かなはずです。
「全体的に2cmくらい切ってください。」と言ってあとは全てを委ねましょう。
一か月半に一回くらい切ればいいと思います。


もし、万が一変な感じに仕上がってしてしまったとしても大丈夫です!このソーミャに任せなさい!
そういうときはワックスでなんとでもなります!
まず髪を洗います。その後、タオルとドライヤーでしっかりと乾かします。
そして、コンビニとかでよく売っている小さくて丸っこいワックス(色は何でもいいです。)をうすーく指に広げます。
ここで重要なのが、手のひらには付けないことです。そして、シャンプーで髪を洗う要領で髪にワックスを付けていってください。
あ、髪の根元と前髪にはベタっとしてしまうのであまりワックスを付けてはいけません。
それが終わったら今度はシューッとするやつで髪を固めます。これが重要です。
これをしないとせっかくワックスで整えた髪がすぐにへたってただのベタベタな髪になります。
髪型の形ですが、顔も含んだ菱方を意識するといい感じの形になります。あとはふわふわさせといてください。


次に、眉です。
ドラッグストアとかスーパーで売ってる女の子用?顔用?みたいな剃刀を買ってきてください。
そんでもって上側の無駄な部分を剃ります。そして、瞼の上らへんの無駄な毛も剃ります。
そんで眉毛の長さが長い人は小さいハサミで顔の外側の方からバッサリ切ってください。
顔の内側の方はあんまり切らなくていいです。
これで髪と眉毛はいい感じになったはずです。これが出来ればあなたも半分くらいソーミャです。


上で書いたことが実践出来ればとりあえずはOKです。世の中のたいていの女達は相手をしてくれるようになるはずです。
しかし、僕のようにより高みを、モテモテを目指すのであればこれだけでは足りません。
僕が普段相手にしている俗にいう「いい女」と対等に渡り合うためにはより身だしなみに気を付けなければいけません。


次に、実践していただきことはずばり「筋トレ」です。
人の印象を決める要素の重要な一つにシルエットというものがあります。
体形と言ってもいいです。ガリガリでもダメですし、太っていてもいけません。
女っぽいヴィジュアル系っぽい人間なら別ですけど、君はきっとそうではないでしょうし


ガリガリならまず、運動をして、ご飯をたくさん食べましょう。
デブは知りません。人生で一度も太ったことないですからね。
そして、正しいやり方で腕立てを行って胸筋を作りあげてください。
胸筋があれば、服を着ていても目立って分かりますし、脱いだ時のインパクトも強いですし、胸筋ってすぐに
付くので楽です。
胸筋があれば男としての自信も付くし、いいことずくめです。
超回復を気にしながら一日おきぐらいにきっちりいじめぬいてください。

あとはスクワットです。
スクワットをすると、持久力がついて何かと便利です。
大変ですけどやりがいがあります。ですが、デメリットもあります。
細いパンツは履けなくなります。それでもいいならやりましょう。
あ、筋トレの後はたんぱく質をしっかり摂ってくださいね。


以上、髪と眉と筋トレを紹介しましたが、これらが実践できるようになれば、君も大体ソーミャです。
おめでとうございます。よかったですね。
一回二回やって満足するのではなく、継続的に行っていきましょう。
僕もモテモテになるために日々続けているので、一緒に頑張ってやりましょうね。

それではまた。

親ガチャハズレの俺達へ


このブログを見に来てくれてありがとう。
そして私は、まず君たちに謝罪をしなくてはいけない。
この記事のタイトルである「親ガチャ」という単語は見る方によっては不快な思いをするだろう。
私があえてこのタイトルにしたのは理由があるのだが、それを含めてもここで謝罪の意を伝えさせえて頂く。



さて、そもそも「親ガチャ」とはどういう意味だろうか。
知らない人のためにもここで私なりの解釈で説明しようと思う。
最近、いや、かなり前から主にスマートフォンで遊ぶことの出来るソシャゲというものが流行っている。
ソシャゲとは簡単に言えば基本プレイ無料のアプリゲームのことだ。
ゲームの中では大抵ガチャガチャが存在し、回して出てくるものはランク付けをされていることが多い。
例えば、滅多に出ない出現率3%のものはUR(ウルトラレア)10%のものはSR(スペシャルレア)
それ以外のいわゆるハズレはUC(アンコモン)C(コモン)などと呼ばれたりする。
この回しても何が出てくるか分からないというランダム要素にハマり、お目当てのキャラが出てくるまで数万円から数十万円という金を課金するものもいたりする。
そして、「親ガチャ」というものはこのガチャの頭文字に自分の親をあてはめたものだ。
まあ、説明するまでもないシンプルな造語である。



誰が最初に「親ガチャ」なるものを言い始めたのかは分からないが、初めて私が目にしたときは少なからず衝撃を受けた。
今まで私は、親という存在は親であり、当たりかハズレかなんてことは考えたことがなかった。
ランクを付けようなどとも思ったことはない。
最初に思いついた奴は相当性格がねじ曲がっているに違いない。
生まれながらにして、親は親。自分を生み、育ててくれた存在。その認識が今まで揺らぐことはなかったし、それが当たり前だと思っていた。


だが、あえて、今一度考えてみようではないか。
私の親ガチャは当たりだったのか、ハズレだったのか。
そもそも、なぜ私はガチャなるものを回されてこの世に排出されてしまったのか。
僕の尊敬するK氏の言葉を借りるならば「生んでくれ」などと頼んだつもりは毛頭ない。
「こんなことを考えても仕方がない。不毛だ。この親不孝者め。」と思う方もいるかもしれないが、
今宵は一度固定概念を捨て去って、0から私と共に思考の渦の中に飛び込んでみようではないか。



ではまず自分の親は当たりだったのかハズレだったのかを考える前に、
どういう親だと当たりでどういう親だとハズレなのかということを定義しなくてはならない。
ここからは完全に私自身の主観がかなり大きく影響してしまう。
お許しいただきたい。

私が思うに、当たりの親とは子供が何不自由なく生きていくためのサポートをすることが可能で、かつ、子供を育てるための環境作りが出来る親を指すのだと思う。

例えば、サポートという意味でいうのならば、それなりに裕福な暮らしができるくらいの金を稼げる能力が親には必要不可欠であろう。
子供の食事や、洋服、習い事これら全てには金がかかる。
一流のものを与えようと思えばただでさえ金がかかるうえにさらにかかる。
学校もそうだ。多くの一般家庭では公立の小学校、中学校、高校に通わせるが、もし、子供のためを思うのであれば私立の学校の方がいいに決まっている。
私立の学校というものは学費が公立の学校に比べてよりかかる。
しかし、その分手厚い教育を受けられたり、共に通う学友の質というものも高くなるだろう。
入学させるのに大金がかかる学校はそれだけ、受験のための敷居も高い。
野蛮で教養のない、誰かをいじめたりするような子供を育てている家庭はここで足切りを食らう。
そもそも受験していない。
十分な食事と多種多様な習い事に加え、高度な教育を受けさせ、共に学ぶ学友の質も高いとなれば
それは子供のためを思う親の手厚いサポートと言えるだろう。
もちろん、家庭内での子供へのコミュニケーションの取り方や教育方針がとても大事であることも
忘れてはいけない。



そして、環境という意味で言うのならば、子供がのびのびと健やかに成長していける環境を用意できるのが理想である。
治安の良い郊外に庭付きの一軒家があり、車があり、近所には親戚も住んでいる。
土地もそこそこ広いのを持っている。
家には専門の家政婦がおり、家庭教師も教科ごとに雇っている。
もちろん、夫婦の仲は円満で近所付き合いも良好。母親のおなかの中には弟もいる。
ここまで条件が揃っていれば文句の付け所はないだろう。
果たしてここまで恵まれた環境下で生まれてくる子供がいるのかは分からないが、もしも存在するのであれば親ガチャは文句なしのURであろう。



ここまでで、親の出来るサポートと環境作りの話をさせて頂いた。間違いなく親ガチャ当たりの。
私に言わせてもらえばこれぐらいしてくれないと生まれたくないものである。
生きるということは大変だ。辛く険しく、死んだ方がマシだと思う場面もたくさんある。
親にはこれぐらいのことをしてもらわないと、あまりにも子育てについて無責任だと言わざる負えない。
誰も「生んでくれ」などと、頼んでいない。
己の自己満足のために、世間一般的な常識とやらに縛れて、たやすく結婚と出産をしないで欲しい。
と、声を大にして言わせてもらう。
親ガチャハズレで大変な思いをするのは生まれてくる子供なのだから。



運よく、親ガチャで当たりを引いた子供は品行方正に育ち、趣味も多彩で、コミュニケーション能力も高く、友達も多いだろう。
運動神経も抜群で、勉強もよくでき、人には愛を持って優しく接することが出来るに違いない。
顔も両親に似て整っていて、身長も高いだろう。今後の人生で不自由することは何もない。
いい大学に入り、いい会社に就職して、いいお嫁さんを貰うであろう。
立派な両親のように自分もまた自分の子供に精一杯愛を注ぐことが出来る。



では、逆に親ガチャハズレの子供はどうだろうか。
生まれてきた環境もままならない。親は生活をすることに必死で子供に愛を注ぐ時間すらない。
サポートも特に何かできるわけではなく、両親、共が放任主義
カエルの子はカエル。鳶が鷹を生むことはない。
親が貧乏なら子も貧乏。親に教養がなければ子にも教養はない。
親は知らないのだ。何も。金の稼ぎ方も子供への教育の仕方も接し方さえも。
そんな親から生まれてきた不幸な子供こそが親ガチャハズレの子供だ。
なんとなく生まれてきてしまった哀れな生き物。

きっとこのブログを読んでいる君もそうだろう。
君の生活が、仕事が、学業が、恋愛が全てうまくいかないのは親のせいだ。
環境作りを怠ったまま、子育ての仕方も知らないまま君を生んでしまった親の責任だ。
君は何も悪くない。なるべくして、そうなっているのだ。
君の身長が低いのも太っているのも、禿げているのも、生活習慣が悪いのも、自律神経が乱れて昼夜どっちか分からないのも、コミュニケーション能力が低いのも、持病があって満足に生活できないのも全部!

親ガチャハズレの人間は親ガチャ当たりの人間の何倍も難しい人生という名のゲームをさせられる。
人生ハードモードだ。どれだけあがいても何も変えられないかもしれない。
人は平等ではない。
それでも、それも認めて生きていくしかない。



さて、少し熱くなってしまったが、ところで私の親ガチャは当たりだったのだろうか。
それともハズレだったのだろうか。
まあ、ハズレだろう。
親は離婚し、一家離散、私自身、持病のせいで二週間に一度、自己注射をしないと全身が火傷のような状態になる。今でこそ、医療が進歩してくれたおかげで高い注射を打つだけで私の症状は治まるが学生時代には人に肌を見せることが怖くてよく気が滅入ったものだった。
途中から不登校にもなった。
誰にも理解されずに辛い思いをしたが、母だけはよき理解者であった。それだけは救いであったのかもしれない。



ふむ、不幸自慢などし始めたらきりがないし、世の中には私なんかよりもよっぽど生きることに困っている人々もいるだろう。
親ガチャがハズレだったせいかそれ以外の理由があるのかは分からないが、
ただ、どれだけ辛くても苦しくても生きていかねばならない。
生きていくためにどうすればいいのか日々、考え、工夫していかねばならない。
今を生きる当人たちにとって親が当たりだったかハズレだったのかなんていうのは考えても仕方がない。
ハズレならハズレなりに、最大限自分の力を発揮して楽しんで生きた方がいいと思う。
一番最悪なのは「俺は親ガチャハズレだから何も出来ない」と思うことだ。
何もしないのはよくない。
過ちがあるなら、欠陥があるなら、それを認めて次への糧にしなくてはいけない。
前に向かって歩き出そう。この親ガチャハズレのsoomyaと共に、な。 完。